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2024.08.04 news

夏のバラケア:豊橋オープンガーデナー渡辺さんの実践方法

バラ企画第5回目

7月中旬、豊橋のオープンガーデナー、渡辺さんの庭にお邪魔しました。

バラを美しく保つには、季節ごとのケアが大切です。特に夏は病害虫対策、雑草管理、花柄摘みが大切!

この記事では、渡辺さんの庭を例に、7月から8月にかけてのバラの手入れ方法を紹介します。

渡辺さんの夏のバラ管理の考え方や多年草・宿根草のケア、教科書には載っていない独自の管理方法もお伝えします。初心者にもわかりやすい実践的なアドバイスをぜひ参考にしてください。

  • 1. バラの病害虫対策
  • 2. バラの手入れと管理
  • 3. バラ庭園のモグラ対策
  • 4. バラ庭園のデザインと装飾
  • 5. バラの栽培とケア
  • 6. さいごに
  • 7. プチコーナー

1. バラの病害虫対策

7月8月のバラの病害虫対策

7月8月の病害虫対策について渡辺さんは黒星病とチュウレンジハバチ、そしてカミキリ虫の対策として毎日チェックすることが欠かせないようです。違和感を感じたら悪い葉をとったり、虫を捕まえたりとすぐに対処をされています。

黒星病とチュウレンジハバチの被害

黒星病

黒星病とはバラ科によく起こりやすい病気で、緑色の葉に黒い模様ができてしまいます。そのままにしておくとどんどん広がっていき、最後は枯れてしまいます。糸状菌というカビの一種が原因で、湿度の高い時期におこりやすいです。

渡辺庭のバラも被害にあうので、黄色や茶色になっている葉は気づいたときにちぎって取っていらっしゃいます。早く対処するために毎日庭をチェックされているそうです。また葉の種類によって強い弱いがあるとのことで、ピカピカと光沢しているような葉の照葉の方がどちらかというと強いようです。渡辺さんのお庭ですと、マイローズとフロレンティーナが照葉に当たります。

(夏のマイローズ)

(照葉のフロレンティーナ)

チュウレンジハバチ

チュウレンジハバチは茎に卵を産みます。そしてそこからかえった幼虫が先のほうの葉などを食べつくしていきます。それによって枯れるところまではいっていないようですが、食べられた部分が弱くなり折れてしまうそうです。そして黒星病同様、照葉だと柔らかい葉のバラよりもチュウレンジハバチがつきにくいそうです。

(チュウレンジハバチの被害)

(チュウレンジハバチ卵)

カミキリ虫対策と捕獲方法

カミキリ虫の幼虫は3年生きるといわれているそうで、3年もバラを食べられてしまうとかなり広範囲が枯れてしまうので、見つけたら徹底的に対策をしないといけないと渡辺さん。渡辺さんの対策と捕獲方法を紹介します!

対策1:株元にアルミホイルを巻く

カミキリ虫の入った場所が幹や枝ならまだ一部の被害で済みますが、株元に入り込まれると株ごとダメになってしまいます。そのため渡辺さんはオープンガーデン後、アルミホイルを株元に巻きカミキリ虫が株元に入らないように対策しています。渡辺さんが試した結果、アルミホイルの巻いてある部分には入らずその上に入っていたので、アルミホイルを株元に巻くのは効果がありそうですね。

(カミキリ対策アルミ)

対策2:銅タワシ(など網目のもの)を株元に置く

銅タワシを株元に巻き付けていらっしゃいました。胴タワシがあると卵を産み付けられないのと、カミキリ虫の足がひっかかると聞いたそうです。アルミホイルを巻いたところは、はがしてみないと中がどうなっているかわからないけど銅タワシの場合は中が見えやすいと渡辺さんはおっしゃっていました。また網戸の網部分でネット状になったものを作り、巻き付けているものもありました。網戸の網で作ったほうは、割と効果があったとおっしゃっていました。

(銅タワシ)

(網戸で作ったもの)

捕獲方法:幹や枝の皮をめくり直接取る

カミキリ虫が入っている部分はだいたい枯れているので、枯れているところを見つけたら幹や枝の皮をめくって取り除いているそうです。渡辺さんは、カミキリ虫が取れてやっと安心できるので、取れなかった場合はその後も毎日見に行ってカミキリ虫を取り除けるまでチェックするのだそう。

(カミキリ虫)

2. バラの手入れと管理

バラの基本的な手入れ方法

バラの基本的なお手入れと時期をざっくり紹介します。

  • 肥料:肥料は1年に3回程度与えます。時期はだいたい6月頃と夏の剪定後、1月頃です。
  • 病害虫対策:春前3月頃から、冬1月頃まで必要になります。病害虫用の消毒を散布することなどがこれに当たります。
  • 花ガラ摘み:春前の2月頃から、夏前の6月頃までは終わった花を摘んでいきます。また二季咲き性や四季咲き性は7月頃から12月頃までも花ガラ摘みが必要です。
  • 剪定:夏と冬で年2回剪定します。
  • 誘引:ツルバラは11月頃から2月頃にツルを誘引していきます。
  • 水やり:鉢植えの場合、春から秋は土が乾いたらたっぷりと与えます。地面から水が跳ね返らないようゆっくりと株元に水やりをします。冬は土が乾燥しきる前にやる程度で大丈夫です。地植えの場合は根付くまでは土が乾いたら、根付いた後は暑くなる夏以外は水やりの必要ありません。

夏のバラの作業内容

ここからは渡辺さん流の夏の作業を具体的に説明します。

 
株元をすっきりさせる

夏になると他の植物の葉が増えたり雑草も増えたりするので、全体的にもっさりとしてきます。

そうなるとバラのケアをするために入り込むのが難しくなってしまうので、近くの植物の手入れをしたり雑草は取って株元をすっきりとさせておきます。

すっきりさせると風通しも良くなり、病害虫の発見もしやすいです。

実際の渡辺庭でもクロミツバが2か所ありましたが、バラの株元をすっきりさせるために1か所は取ったとのことです。

(株元がすっきり)

肥料

渡辺さんは地植えであれば年1回で済ませているそうですが、鉢植えの場合は液体肥料と活力剤を夏もしたほうがいいそうです。

つぼみ取り

四季咲きバラの夏のつぼみは摘んでしまいます。理由は夏に花が咲いても害虫の被害にあうことが多く、うまく咲けないからだそうです。

水やり

水やりについてはバラのためというよりは、お庭を作ってくれるバラと一緒に植えている宿根草のためにするそうです。頻度は毎日で、夕方に作業するそうです。

このように渡辺さんは夏のバラはできるだけ栄養を温存してもらって、良い秋バラを咲かせられるようにと考えて作業されていました。7月8月は暑い時期ですのでだいたい9時ごろに作業し、曇っている日中も少し作業するとのことでした。

シュートの扱い方と選定

渡辺さんのシュートについての考え方ですが、シュートを切ってしまうと新しい芽が切り口から出てきます。そうすると養分がそこに使われてしまうので、渡辺さんはシュートを夏には切らないそうです。どうしてもという場合は切りますが、基本は邪魔になったらしばってまとめて置くとのことです。そして来年どう誘引するかを考えていくそうです。

新しい芽ではなくバラ全体に養分をいきわたらせたいから、シュートを切らない栽培方法はあまり聞かなかったですね。でもたしかに新しい芽が出ると養分は使われてしまうと思うのでその分他にも栄養をまわすというのは納得です。また初心者の方にとって剪定は冬だけでもいいというのはバラ栽培を始めるハードルが下がりますね。

3. バラ庭園のモグラ対策

モグラによるバラ庭園への影響

モグラはバラの根元にいるミミズを狙って掘っていくので、その影響でバラの根が切れたり他の植物が浮き上がってしまいます。そうなると根から水をうまく吸うことができなくなり枯れてしまいます。渡辺庭の場合も結構な被害があるようで、バラは枯れることはあまりないが生育がわるくなるのと、他の植物は植えた次の日に掘り返されることでひっくりかえっていることも…。またモグラは冬眠をしないので冬も活動するそうです。

4. バラ庭園のデザインと装飾

小道と壺の活用によるバラ庭園の演出

今ではいろいろ飾られていて整っている渡辺庭ですが、最初の頃はシンプルな芝生だけの庭でした。

環境アドバイザーの方から「小道を作るといいよ」と教わり、庭に小道を作ったところ、庭が見違えるようになったそうです。

また、渡辺さんはオブジェが好きで、たくさんのオブジェを庭に配置しています。

ベンチの効果と使い方:バラ庭園の休憩スペース

渡辺さんに「庭になにか置くとしたら何がいいですか?」とお聞きすると、まずはベンチだとアドバイスがありました。

理由は、ベンチは座るだけでなく、座面に鉢を置くことで立体感も出るからだそうです。そのベンチはもう座れなくなったものだそうですが、たしかに鉢を1つ上に置くだけで絵になります!

また、渡辺さんは置く物の色も考えています。例えば、葉や茎の緑が多い中に赤色の物を置くことで、緑一色の中に赤色が映えています。差し色の役目を果たしているのですね。

緑の植物と茶色の玄関があるところにも白い高さのあるオブジェがあり、そこには同じく白いアジサイが。白の明るい色と花が入ることで華やかさと引き締まった印象を与えていました。

(ベンチ何もない状態)

(例:ベンチに鉢乗せる)

(実際:ベンチの上植物)

(差し色赤)

(壺にアジサイ)

5. バラの栽培とケア

株元のケアとマルチング

バラは株元を大切に育てる必要があります。夏はすっきりさせるといいと書きましたが、それ以外にマルチングも効果的です。マルチングとは株元の土の上にしきつめて使用するもので、雨や水やりのときにはねた水がバラにかかるのを防ぐ効果があります。はねた水がかかることで黒星病などの病害虫の原因になることがあります。マルチング材には庭の景観を損ねないおしゃれなものも多いので、お気に入りのマルチング材を見つけ効果的に活用していきましょう。

バラに適した植物の管理とケア

時期の終わった植物の処理

渡辺さんの庭では、バラと一緒にクレマチスを植えています。撮影当日、クレマチスの一部が枯れているのが見受けられました。渡辺さんは、バラの健康を保つために、時期が終わって枯れている植物をこまめに取り除いています。

多年草、宿根草の切り戻し

渡辺さんは、バラ以外にも一緒に植えている下草などの植物も手入れしています。それぞれの品種に合わせたケアを行っています。

たとえば、渡辺庭にあるラムズイヤー(宿根草)は、葉が咲いたらすぐに取るのが長持ちの秘訣だそうです。渡辺さんは、花を切り取っているそうです。

そして、枯れてしまっても買いなおさなくていいように、挿し芽をして株を増やしています。夏が過ぎて少し涼しくなったら、育って大きくなった植物を抜いて減らすこともあります。

(バーバスカム)

(ラムズイヤー)

6. さいごに

今回、夏のバラのケアについて渡辺さんにお聞きしました。お話の中で、10月頃から本格的なお手入れがはじまるので、夏にあまり神経質にならずバラだけでなく人間も秋までに体力温存していきましょうとおっしゃっていたのが印象的でした。

7. プチコーナー

以前鉢植えしたバラはどうなったの?

第3回目で鉢植えをした真白とフルレットはここまで生長しました。フルレットはよく育ち、真白はツルバラですがツルもよく伸びています。

(真白とフルレット)

ますます暑くなりそうなこの夏、いろいろな方法がある中でバテない程度の作業でバラもきれいに育てられたらとてもうれしいですね!YouTubeで動画配信もされています!バラ企画記念のアイテムを限定数販売予定のお話もありますのでぜひ動画もご覧ください!